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外務省行政事業レビューについて


  現在、広島平和構築人材育成センター(HPC)が平成23年度・24年度に実施した「平和構築人材育成事業」について、外務省内の「行政事業レビュー」が進行中です。杉浦正俊・外務省国際平和協力室長が説明にあたっています。この様子については、外務省ウェブサイトで資料掲載がなされていたり、外務省員間の議論の様子が動画配信されたりしていますが、いくつかの大きな間違いがあります。

   外務省ウェブサイトに掲載されている「とりまとめ」文書によれば、「平和構築人材育成センターとピースビルダーズは相互に受注して相手を下請けに出し合っていている」、などと述べられていますが、全くの間違いです。そのような事実は過去にさかのぼっても一切ありません。

  なお、「とりまとめ」等において外務省ウェブサイトに掲載されている文書の中には、広島大学教員で広島平和構築人材育成センターの役員がいるという指摘がなされていますが、これも事実ではありません。役員職ではなく、事業レベル従事職のみがありました。

  予算面では、平成24年度、平成23年度と、当初の予算の8割〜9割程度しか支出されていないはずにもかかわらず、それぞれ執行率が99.7%、99.9%、などと「レビューシート」に記載されて公開されています。事業費の内訳についても、2,700万円程度の事務局執行経費・概算見積(全職員人件費・出張費・その他の事務所維持費)が、二倍近い5,100万円と記載されているなど、理解が困難な部分が多々あります。

  これらは、外務省で事業担当している国際平和協力室の杉浦正俊・国際平和協力室長ら関係者がよく知っていることであり、事実誤認が発生した理由も理解できない不当な糾弾だと言わざるをえません。

  今回のレビューにあたっては実施者であるHPCに対して事業に関する情報提供の求めもなかったのみならず、杉浦正俊・国際平和協力室長はレビュー実施についてふれることもしなかったため、杉浦正俊・国際平和協力室長は、事業修了生の国連ポスト/JPO就業者数について曖昧な返答しかできないといった事態も発生しており、レビューの意図自体が不明瞭になってしまっています。

  平成19年度・20年度に広島大学を主契約者として事業運営が行われていた際には、広島大学内に「広島平和構築人材育成センター」がプロジェクトセンターとして設立されました。ただ大学だけでは事務作業が追い付かないという理由で、地元のNGOであるピースビルダーズが共同事業者として事業運営に入りました。ただ、国立大学法人では様々な運営上の難しさがあったため、平成21年度からピースビルダーズが主契約者となり事業運営を行いました。その後、NGOの中にセンターがあるという仕組みが分かりにくい、また、受託事業の主契約者は非営利組織としてのNGOには望ましくない、などの判断があり、「広島平和構築人材育成センター」部分を独立させました。こうした経緯は、全く隠し事ではないため、主契約者の法人格にかかわらず、あえて6年間継続して「広島平和構築人材育成センター」の名称を使い続けているわけです。

  「とりまとめ」においては、したがって広島平和構築人材育成センターからの広島大学への再委託は利益相反であるとの糾弾がなされていますが、実際には、同センターと広島大学とは企画書作成段階から共同事業体の関係にあることが説明されており、再委託契約の形をとるのは、外務省が一者としか契約しない方針をとっているからにすぎません。共同で事業に当たる仕組みは、平成19年度から一貫して、企画書段階から毎回詳細に説明しており、それをふまえて毎年所定の手続きを進めています。

  HPCは、平和構築を専門として関心を持っている研究者や若手職員によって成り立っている平和構築に特化した組織であるがゆえに、何ら問題のない公正な企画競争において選定されてきたと自負しています。時には、このような純粋な民間団体が事業を連続受託していること自体が大きな問題であるという意見をお持ちの方がいらっしゃることも理解します。しかし、事実無根の糾弾を積み重ねるようなことは適切と受け止める事はできません。

平成25年6月28日
ピースビルダーズ

追記:なお上記内容は、正誤表一覧表として、平和構築人材育成事業を担当する杉浦正俊国際平和協力室長(当時)(レビューシート作成者)に提出されたが、返答はない。